僕が本格的にファッションに魅了されたのは9年前の18才の時だ。
当時はファッション雑誌が全盛期でメンズノンノ、HUGE、チョキチョキなど様々な雑誌が書店に並んでいた。
今でも、ファッション雑誌をはじめとする男性誌は書店にあるが、当時ほどの勢いは感じられない。
スタイリストがモデルに提供された衣装をスタイリングしたかっこいい写真もいいけど、メインはやはりストリートスナップだった。
原宿、渋谷を筆頭に若者たちの”リアル”を特集したページは、ファッションに興味を抱き始めたばかりの18才の青年にはとても眩しいものとして映った。
そんな当時のストリートでみんなこぞって着用していたのがディオールオムのデニムだった。
メンズファッションを変えた「Dior Homme」
ディオールオムは、その時代は現在のクリスヴァンアッシュではなく”ディオールオムの生みの親”であるエディ・スリマンがクリエイティブデザイナーだった。
とにかく強烈なカリスマ性を放っていて、「ディオールオム」という宗教の教祖のような存在だった。
信者は今でも少なくない。僕はそれほどのめりこんだ訳ではないが、当時はかなりの影響を受けたと思う。
9年前、まだまだメンズのスキニーパンツというのが浸透していなくて、どのショップでもテーパードの効いたやや細めなパンツしか置いていなかった。
僕もあの時はリサイクルショップに行って、レディースのスキニーデニムを探し回って履いていたものだ。
そこで、ディオールオムという存在を知り、少年の繊細さなどを表現した数々のコレクションを見て衝撃を受けた。
スキニーのピタピタの細いデニムに、シェイプの利いたテーラードジャケットを着たランウェイのモデル達は次元を超えたかっこよさだった。
今でこそ、当たり前になったメンズのモードはエディが作ったといっても過言ではない。
それくらい、当時のファッションに夢中になっていた男の子はディオールオムに魅了されていたのだ。
そして、僕もその一人であり、ディオールオムのデニムを買う為に、昼食を抜いてアルバイトをしまくり、やっとの思いで購入した。
一番初めに買ったのはラスターコーティングという樹脂でコーティングされたデニムでめちゃくちゃかっこよかった。
同時に18才の学生が本来、買えるような値段ではなく、会計の時は手が震えたのを今でも覚えている。
それから少しずつディオールオムのデニムを買っていき、一番多い時で10本は持っていたと思う。
現在はファッションの価値観が変わり、ほとんど手放してしまったが何本かは所持している。
やっぱり、最終的にノンウォッシュに至る
中でも気に入っているのがスタンダードなノンウォッシュタイプのデニムだ。割りと最近購入したものなので、経年変化はほとんどしていない。
生地はイタリア製と日本製の2種類があり、これは日本製のもの。
イタリア製は少し、シルエットが大きめで加工が強めという特徴があり、日本製はより細く、色落ちが綺麗。
ノンウォッシュの場合は断然、日本製がいいと思う。
もちろん個人の好みで分かれるが、ノンウォッシュデニムはやはり色落ちを楽しむ為のものだろうと個人的に思っている。
美しいシルエット
テーパーしていないストレートなシルエットは脚を細く見せる効果があり、ディオールオムらしい、優美な雰囲気が漂う。
レングスは90cm以上あり、かなり長めだが裾に綺麗なドレープを作り、脚長効果もある。
無駄なものを一切排除したミニマルなデザインは10代の若者はもちろん、30代、40代と年を重ねても違和感なく履くことができる。
もちろん、体型維持が大前提ではあるけれど。
大体、2ヶ月は履いたと思うけど、多少ヒゲができてきている。細身のシルエットな為、ヒゲは短期間でも作られやすいようだ。
他のブランドのデニムより、色味が濃いので色落ち自体は時間が掛かりそうではある。
そもそも、ディオールオムのデニムは本来、経年変化を楽しむものではないので履きこんだ姿を見たことがない。
なので、僕はあえてクタクタになるまで履きこんでみようと思う。
デニム自体は生地がしっかりしているので、雑に履いても壊れることはない。
もし、破けたりしても自分で縫って直せばいいだけだ。
Dior Hommeの経年変化も見てみたい!
ハチの巣も結構はっきりとでてきている。
自転車を漕いだり、しゃがんだりする動作の度にこのシワは作られていく。
2年後にはかなりいい感じに育っているのではないだろうか。
今は、気温も上がってきたので、なかなか履けていないのだけど涼しくなったらまた、履きこもうと思う。
夏場のノンウォッシュデニムは地獄だ。
過去に色々なデニムを履いてきたけど、思い返してみると僕のデニムたちはいい感じに育つことが多い。
やはり、自転車通勤が大きな要因なのではないかなと思う。
激しく動いた分だけ、デニムにはシワが刻まれるからだ。
上の記事のA.P.Cのデニムも激しいアタリやヒゲ、ハチの巣が育っている。
生活環境は今とさほど変わらない時期から履きはじめたものだ。
大切に思う気持ちはもちろん大切だけど、デニムは本来、作業着として生まれたモノ。
酷使してこそ輝くのだ。
いつか、デニムの育て方の記事も書きたいと思っている。
糊を落とすタイミングだったり、ライフスタイルによってできるアタリの違いだったりを紹介するのも面白そうだ。
せっかくなので、このディオールオムの育成経過も機会があれば書こうと思う。
これからノンウォッシュデニムを育てたいと思っている人にとって少しでも参考になれば幸いです。
では!