このブログを始める前から、一眼レフでポートレートを撮ったりしていたのだけどつくづくカメラは難しいなと実感している。
その場の一瞬の空気を切り取るには写真の技術はもちろん、観察眼だったり、物事を捉える視点だったり一朝一夕では身につかない”経験”が必要なのだと思う。
DAVID BAILEYの写真集
David Bailey(デビッド・ベイリー)の写真集、「PICTURES THAT MARK CAN DO」を見ていてもそれは実感できる。
素晴らしい写真ばかりだ。
デビッド・ベイリーはイギリスのフォトグラファーで60年代から雑誌「VOGUE」で活躍していた写真界の巨匠だ。
ローリングストーンズやビートルズなど、その時代を代表するアイコン達を撮り続け、自身もイギリスを代表する写真家となった。
VOGUEではその独自の切り口で撮影された写真で当時のファッションシーンを牽引していた。60年代のイギリスのファッション、カルチャーを指す、いわゆる「スウィンギング・ロンドン」の中心的人物だ。
きっかけは誕生日プレゼント
そんな巨匠の写真集は、10代後半か20才くらいの時に友人達から誕生日プレゼントで頂いた。
プレゼントで写真集ってハイセンスすぎるだろ!と当時、思っていたのだがこれがまた、僕のツボにハマっていた。
”若い時に様々な刺激を受けることが大切”とはよく言ったもので、10代、20代の頃の感性は乾いたスポンジのように何でも吸収していく。
まあ、僕もまだまだ20代なんだけど、10代の頃よりは知的好奇心は薄まったと思う。
当時は渋谷のタワレコで色々な写真集を立ち読みしたりしていて、その好奇心を満たしていた。
たまに欲しいものが見つかったとしても値札を見て、そっと棚に戻した。
そう、写真集は高いのだ。うん、高すぎる。
そんな所を見ていたからなのか友人達は写真集を僕にプレゼントしてくれた。
しかも、デビッド・ベイリーとはなんとも嬉しいかぎりだ。
当時、僕はデビッド・ベイリーがどんな人物なのか知らなかったがこの写真集をきっかけに知ることができた。
普段の作風とは違う”スナップ”メインの写真
デビッド・ベイリーというとモノクロのアーティスティックな写真のイメージなのだけど、この写真集ではほとんどカラーだ。
そして、VOGUEはファッション雑誌なので、ベイリーにとってポートレートが仕事の主体だった。
しかし、ここでは街中を自由に歩き回り、好きなモノ、興味を引いたものを片っ端から撮ったという印象を受ける。
なんだか、デビッド・ベイリーの内面を伺えたような気分だ。
街の人達の写真が多い中、デニス・ホッパーやジョン・ガリアーノら著名人達が混ざっているのも面白い。
デビッド・ベイリーはファッションを”世界でもっとも退屈なもの”と表現していたけれど、本来はこの「PICTURES THAT MARK CAN DO」のような写真が好きなのかなと思った。
風景写真もたくさんあるのだけど、そのどの写真も美しくて、どこか退廃的だ。
実際、僕自身もどんなに美しいドレスを見ても、そのあとに広大な自然の偉大さを目にしたら全部忘れてしまうのではないかと思う。
人間が作るものの限界を垣間見るようで少し悲しくなってくるけど。
もらってから7~8年経ったが綺麗に保管しているし、今でも時々写真を眺めている。
このブログは写真に重点を置いて運営しているのでとても勉強になるのだ。
まだまだ、写真のことはよくわからないけれど”いつかこんな写真が撮りたい”と思えるモノを手元に置くことはとても大切なことなのだと思っている。
では!