最近、まとめて本を読みまくったので書評記事多めです!
こんにちは、イティーです。
読書が捗る季節になって参りました!
今回は、道尾秀介の「向日葵の咲かない夏」を読んだんですが、まあ酷いです。
もちろん良い意味でです笑
本好きからはかなりの”議論”を巻き起こしているこの小説ですが、はっきり言って一般受けはしないと思います。
ただ、話の展開が非常に面白いので、普段から本を読まないという人でも、スラスラ読めてしまう作品ですね。
僕もこの本で久々に徹夜しました笑
では、ネタバレは控えながら感想を書いていこうと思います。
大まかな物語
話は小学生であるミチオが、クラスメイトのS君の死体を発見してしまう所からスタートします。
そして、1週間後にS君は蜘蛛になってミチオの前に現れるのです。
しかも、喋れるという謎展開!
この時点で「この話はどうなっていくんだ?」と道尾ワールドに引き込まれます。
S君は「自分は殺されたんだ」というので、蜘蛛になったS君と、ミチオの妹のミカと3人で犯人探しを始めるわけです。
一見、「ズッコケ三人組」のようなノリで話が進む
S君は中々ひょうひょうとしていて、キャラ的にも面白いです。
ミカもそんなS君と仲良しで、3人の会話とかもシリアスムードは一切ないです。
犯人探しも、まるで冒険のような雰囲気で、途中までは那須正幹の「ズッコケ三人組シリーズ」かのような展開ですね。
僕も、児童文学を読んでいるかのような錯覚に陥りました。
普通に楽しい冒険物語なんだと。
そして、「犯人は誰なんだろう?」という所に意識が集中してしまうと思います。
まあ、その時はそれがこの小説の狙いだったとは気づきませんでしたけど笑
だんだん雲行きが怪しくなる
3人の冒険は楽しく進んでいくんだけど、少しあれ?ってなってきます。
それは周りの大人達の異常さ。
変態教師や狂った母親など、今までの”ワクワク感”を崩壊させていく不穏な空気が入り混じってくるのです。
そして、S君も意味深な発言が目立ってきます。
「何かがおかしい。」
僕も読んでいてだんだん不安になってくるのですが、逆に真相を知りたくてこの辺りから更に読むスピードが上がっていきました。
気分が悪くなるほどの叙述トリックが明らかに
先ほどの不穏な空気は徐々に増していき、ページ3分の2あたりで真相が明らかになります。
これが、まあ気分が悪くなるくらいのオチなんですよね。
今までの冒険感やワクワク感は、このオチの為の”スパイス”だったんだと始めて読者が気付くんです。
いわゆる叙述トリックというやつですね。
こういうトリックは小説という形式だからこそできるトリックなので、映画とかの映像作品では味わうことができないですね。
つまり、この「向日葵の咲かない夏」は映像化が不可能な作品ということになるんですけどね。
まあ、読めば分かります笑
「ワクワク感」と「絶望」を一遍に味わえる作品
子供達が謎に立ち向かっていく爽やかさと、吐きそうになる程の後味の悪い絶望の両方を味わえるのが、この作品の特徴ですね。
はっきり言って、めちゃめちゃ面白いです。
僕も徹夜で読んじゃいましたし!
ただ、注意点としてこの小説の読了感は最悪です。
それを味あわせるのが作者の狙いなんですが。。
重松清の「疾走」を読んだ時と似た読了感を味わいました。
両者、色々な意味で「救い」がないです。
話の内容は全く違いますよ。
まあ、amazonでも評価が割れているので、どんな人にもオススメできる作品ではないですね。
圧倒的どんでん返しと気持ち悪い読了感を求めている人だけ読んでみてください(いるのか?そんな人笑)
※エグいという表現を使いましたが、グロシーンとかはないのでご安心を。もっと精神的な意味です。
では!